「学振」 ライバルに差をつけるための4つ
このブログも「学振」で検索するとヒットするみたいなので,わたくしも何か書いてみようかと思います. タイトルも「らしく」してみましたよ.
特別研究員,通称「学振」とは,
「特別研究員」制度は優れた若手研究者に、その研究生活の初期において、自由な発想のもとに主体的に研究課題等を選びながら研究に専念する機会を与えることにより、我が国の学術研究の将来を担う創造性に富んだ研究者の養成・確保に資することを目的として、大学院博士課程在学者及び大学院博士課程修了者等で、優れた研究能力を有し、大学その他の研究機関で研究に専念することを希望する者を「特別研究員」に採用し、研究奨励金を支給する制度です。
制度の概要(PD・DC2・DC1) | 特別研究員|日本学術振興会
お給料と研究費がもらえるので,これは本当にありがたい制度!
歯科の大学院生だと,歯科医院でバイト&日本学生支援機構の奨学金(利子なし返済必要)っていうのが定番だけど,学振があれば上記二つは必要ありません.というか辞退しなければなりません.生活費がもらえるだけでなく,行きたかった国際学会や,会いたい研究者に自分のお金で訪ねることができるんですよ.可能性が広がる~!もちろん留学もできます.わたしはPD持参で留学しました.
私自身はこれまでにDC2を一回,PDを一回(DC2からの切り替えではなく新規)採用されてきました.2回とも面接は免除でした.
”学振”と検索すると,皆さんがいろんなTipsを教えてくれます.私もお世話になってきました.なので,一般的に言われていることはここでは省略.
あんまり書かれていないけど,これは結構重要ってことを書きますね.
- 準備は早めに
- ライバルを知る
- 賞は頂いておく
- 某ちゃんねるを見ない
- 学振がすべてではない
1.準備は早めに
準備は早めにしましょう.準備というのは「論文」と「受賞」です.DCであれば論文1本,PDであれば3本以上がボーダーラインと考えられます(※分野による).取り急ぎ,論文を出しましょう.共著やプロシーディングも無いよりあったほうが良いでしょう.まあ,これは一般的にいわれていることかな.
2.ライバルを知る
ライバル,というのは,同じ分野で応募してくる人たちのことです.これを調べるのは簡単.
学振が発表している採用者一覧から自分の分野を見つけ出し…
名前(もちろん英語)を検索するだけ!簡単!
Web of Science - Starting New Session...
たまに読み方がわからないお名前もあるんだけどね…
今だったら,名前をグーグル検索したらSNSとか出てくるんだろうな~.
これで,仮想ライバル(すでに採用されている人なので自分のライバルにはならない)の「論文の本数」と「インパクトファクター」なんかがわかりますね!
「わ,,,Nature兄弟とか…」あっても凹まないで!学振は多くは院生が応募してきますので,論文に関しては「ボスの力」が大きいのは周知の事実.そこは審査委員も,まんま「本人の力」とは思わないでしょう.
ただ,CNSクラスの論文以外だと多くのライバルと肩を並べる「ザ平均」になりえます.それではどうしたら,ちょちょいと差をつけられるのか…
3.賞をいただいておく
それが賞なのです.上記のとおり,論文だけでは業績にあんまり差がつきません.学会発表も国際学会口頭発表とかあると,感じはよいかもなのですが.そんな中,賞は審査員の目を引く可能性あります.
それに,受賞するともう一つ良いことが.
それは,学会の偉い先生と会話ができる.ってことです.
学会の偉い先生=審査員,となる可能性はとても高い.その先生方と会話できるとなると,書類を読んでいるときに「お,あの学生さんか,頑張ってるな,ふむふむ」と思いだしてもらえるかもしれないわけです.
「でも,賞なんて,山中先生じゃないし無理~!!!!」
って思ってるそこのアナタ!!!
ノーベル賞とはいっていない!
ほら,あるでしょ,あなたの入っているその学会の「若手奨励賞」が!それですよ.
一般的に学会の若手奨励賞は,学会発表で獲得できる場合が多く,論文とか必要ないことが多いのです.
また,学会とまではいかなくとも「研究会」みたいなのもありますよね.そこで若手奨励賞をつくっているところもありますよ.
大学のHPや,学部の掲示板に「ひっそりと」募集告知がでているのもチェックしてみては.
ということで,学会発表するのであればせっかくなので賞をいただいてみましょう!
4.某ちゃんねるを見ない
これ,とっても重要ですから!すでにこれを検索して読んでる方は,某チャンネルの学振板の存在もご存知でしょう….実は私も結構チェックしていました.
しかし,はっきりいって得るものは何も無い!
必ず登場するソース不明の情報に踊らされたり….研究者の未来を憂いてみたり.
なんだか悲しい気持ちになってきますので,そっと閉じてください.そして,論文を書くために実験を進めてください.
5.学振が全てではない
最後の最後で本末転倒なのですが.
学振は全てではありません.学振は通過点にしか過ぎないのです.2年か3年,チャンスをもらえるという制度.そのチャンスを生かすのは自分です.学振とったからすごいとか,とらなかったからダメだとかではありません.
わたしは,学振応募中はつねに「学振はマリオのコインみたいなものだ」と考えていました.ピーチ姫を救うために,場面をクリアするための一つのアイテムに過ぎません.別の方法だってあるのです.
学振採用中,学振後,どんな人生になるのかを妄想しつつ,応募してみてくださいね!